どうか夜よ明けないでくれ 等しく独りなこの時のまま どうかしばらく居させてくれ 願えど 空白む 午前五時 桜の花に群がる人に 名もなき花は踏み潰された 「どれもみんな綺麗だ」なんて 上から目線でよく言うよ 何もかもに値段が付く街で アイデンティティさえも値踏みされ うなだれる僕らを置いて今日も 一日が終わってく 金も銀も銅も鉛も 稀代の名画も数多の駄作も 夜の闇はすべてを黒く染める こんな僕も少しだけ この暗がりの中で 僕の色を許せるんだ だから どうか夜よ明けないでくれ 等しく薄暗いこの時のまま どうかしばらく居させてくれ 願えど 時は過ぎて また今日も変わらずに朝が来て 僕の色を暴いていく 光が町を彩って 新しい一日が始まってく ハートに星に十字に指に 数字はかくもリアルを映す 「みんな違ってみんないい」 なんて 無責任によく言うよ 何もかもに値段が付く街で アイデンティティさえ売れ残って うなだれる僕らを置いて今日も この星は回ってく 浮かれた街にテレビにラジオ 笑顔溢れるタイムラインも 夜の闇に紛れて今は眠る こんな僕も少しだけ この静けさの中で 僕の孤独を許せるんだ だから どうか夜よ明けないでくれ 等しく独りなこの時のまま どうかしばらく居させてくれ 願えど 時は過ぎて また今日も変わらずに朝が来て 僕の孤独を暴いていく 楽しげな声が街に響いて 新しい一日が始まってく ただ 輝くものを妬んで 進めない訳を作って 悪いのは全部僕なんだろ? 信じる者は救われんだろ? 「辛くても笑え前を向け」 「明日はきっと素晴らしい」 そんな言葉を崇める星で今日も 僕ら生きている こんな世界に縛り付けて 思考を侵して夢に駆り立てる 二重螺旋の鎖は今日も解けないまま 泣けど喚けど 白む空に 抗えずに時は過ぎて また今日も変わらずに朝が来て 僕の価値を暴いていく そんな日差しから逃げるように 布団被って…