静かな入江の水際で 彼女は長い髪をほどいた まるで魔法のようだよ 風が夜の色に変わる 君は夕暮れの切れ間から 無垢な瞳で見つめているだけ 透明な彼女の吐息を 胸の内に響かせながら ふたりの黙っていた時間は 蒼い硝子の壜の中で 夜が明けるまで波間をただよう 波音の調べに ふたりの愛を絡め 潮風に包まれ 今は言葉は要らない 夢の中 あらわれてもう一度 君がずっと見ていたのは きっとただの哀しい蜃気楼さ 果てのない幻 たゆたう波のように 沈みゆく陽はまた 君の言葉を奪い去る 波音の調べに ふたりの愛よ絡め 空は蒼く染まり 今は言葉は要らない