白髪が増えたとぼやく男は 自慢してるみたいに照れて ガタゴトうるさい機械に油を ビールつぐように飲ませてる 3度目の結婚で生まれた子供は 50も年が離れ ヤニで汚れた歯を食いしばり 朝から晩までねじりはち巻き 男の寝言が外まで聞こえる 私の寝言も外まで聞こえる 学校飛び出し迷った少年 勤めをさっさと辞めてしまって 行ったり来たりの往復ビンタで 自分の頬を叩いてばかり 何とか暮らしを変えてみたくて 声をかけられたら話しこむ 空き缶ガラクタひしめく通り 風に吹かれてスカンピン 少年の瞳 ビー玉に似てる 私の瞳 ビー玉に似てる 最終バスに遅れた女は 2キロの距離を歩いて帰る スパンコールの夜景の果てに 電話をかける相手もいない カオリにカズミにヤスコにサユリ 学校出てから音信不通 パックに入ったご飯をチンして ベッドの上で食べてる 女は今夜も虫歯が痛くて 私も今夜は虫歯が痛くて 真夏が来るとはるばる明石に ばあちゃんの顔を見に出かけたよ 古いマンション5階の部屋には 日差しがないのに蒸し暑い いつでも長生きしてると 楽しみもある いつでもこうして会えたらいいね 一緒の布団で抱かれて寝たよ 狭い窓から星が見えた ばあちやんあの日ニコニコ笑った 私もあの日ニコニコ笑った 未来の私はどんな姿で どんな人生送っているか 踏み台に乗り少しの背のびで 自分の未来が見えたらいいのに