寝る前に聴いてた歌手や 待ち合わせの時間が住んだ 寒空を覗く窓が あるだけの六畳を描いた ミルクパズルのように ハイライトの無い目で歩く サラリーマンと地下鉄の刑 席で咳をするのは散歩のご老人 コントロールをされてるのか コントロールが出来ないのか 気付かないように耳を塞ぐ音楽 白い息が綺麗なのは 寒い夜の償いだろうか 時計を円で表したのは 皮肉だろうか 憧れも 悔しさも 夢も 諦めて人間になった 雪なんて降らなくても もうここは固形の海だ 駅前の商店街は寂れ よく見える星が見下す マフラーの隙間から刺した 風が眠気を覚ましてく 野良猫が横切る路地で 外灯と自販機だけがある 「ねえ、一人は怖いでしょ?」 差し出された手はもう無い どうなってもいいやとやがて 凶行に走る人がいた でも それを否定できずに 同情した 赤信号を渡るバンが 火の着いたタバコを落とした 飲みかけたコーヒーがもう 不味くなった 自分だけが聡明ならば 長い夜に黎明があったか 分かり合えば少数派の血は 怖くもないか 愚かだと嗤い蔑んだ 浅ましい人間になった 今日と明日の境界線は もうとうに過ぎてたみたいだ 倅んだ指が液晶に 意味の無い文字を呟く 広いと思っていた校舎 今見ればそうでもないか 早く帰りたいのに何故か 遠回りして何になる 「ねえ、明日が怖いよ」と 泣いた相手はもういない