あのひとと別れた理由は 何んでもないの 夜明けに帰って来た彼の 背広についてた口紅が 許せなかっただけのこと マージャンしてたと言いわけも 投げ出すように冷たくて 熱いコーヒーいれながら もうおしまいねと泣きました あのひとと別れた理由は 何でもないの 夜中にかかって来た電話 あのひと出してと親しげな 若い女の笑い声 誰よと責めても答えない 煙草輪にする横顔に 男ごころを見たようで もうこれきりねと泣きました あのひとと別れた理由は 何でもないの お休みぐらいは家にいて ふたりでゆっくりしましょうと 甘い約束したあとで 仕事があるよと新しい ネクタイしめて行く背中 ドアにもたれて見送って もう今日かぎりと泣きました