それだって私には何にもなくって、 貴方だって 恐ろしいくらいに 空っぽだったのを、 結局は。 随分一緒に笑っていたのだ。 逃げ回っていた チョコレートをようやく 喰い尽くしてから、 貴方が、 涼しい躰をしてブランコを飛び 散っていくのを。 私はどうしても、 身に抱いた、明日を向かない鳥。 散る羽ばかりが、舞う空を知る。 君を嘆いた雨を葬り去るから、 私にだけ、このまま、笑っていて。 私達の公園には メリーゴーラウンドが咲いていた。 貴方はそれを大層気に入っていて、 せっかくですから私は貴方が ずーっと忘れないように! はい、チーズ! これでもう大丈夫。 私達は手に持っていた全てて 捨てて、 後はただ歩くだけでした。 それは 心配のない 安心の内のひとつのはずでした。 身に抱いた、明日を向かない鳥。 散る羽ばかりが、舞う空を知る。 君を嘆いた雨を葬り去るから、 私にだけ、このまま、笑っていて。 これでもう大丈夫。 こんなことですから貴方は、 きっと、 特別な私の王子様なんでしょう? そうしたらこんな私にだって、 きっと、特別な力があって、 それで、必ず私達にはこれから、 きっと、 特別な冒険が 待っているはずなのに、 それなのに、 私には何にもなくって、 貴方だって 恐ろしいくらいに 空っぽだったんですから、 私達の公園には メリーゴーラウンドが咲いていた。 貴方はそれを大層気に入っていて、 せっかくですから私は貴方が ずーっと忘れないように! はい、チーズ! これでもう大丈夫。 それだって私には何にもなくって、 貴方だって 恐ろしいくらいに 空っぽだったのを、 結局は。 随分一緒に笑っていたのでした。 身を泣いた、明日を知らない君。 枯る夢ばかりが、厭く朝を告ぐ。 君を撫いだ風も何れ止むから。 今日だけ、一緒に笑って。 希望を抱いて。 希望を抱いて。