道ばたに咲く赤い花びらが 雨に染まっていくの今日も すれ違う子ら 浅い水たまりを撥ね 家路走る ひとしずく落ちてくるたび ひとしずく心あふれる あなたが教えてくれた 雨音の数え方を 左手に持つ図書室で借りた本が 濡れないように歩く 悲しくて空仰いでみたなら あなたのあの言葉 寄り道をして高い校舎の屋上 けぶる景色を見てた 色褪せた街 赤に緑傘の色だけが映える 雨だれがしたたるたび 雨だれに心ふるえる あなたが記してくれた 傷跡のなぞり方を 遠くには川 霞む橋渡る電車揺れてもここは静か 届かないこと分かったときには あなたのあの言葉 人たちは この空飛ぶことは叶わないけど その代わり いま流す涙は天に昇りまた 雨となり還る 西風が吹く雲が流れて 木陰にツグミの顔が覗く 立ち止まる ほら淡い影ひとつわたしの傍 のびる そしてここに光が差す 灰色 雲間が割れて金の幕 降りる 飛び立つ鳥たち 追いかけ虹が架かる 少女が走ればその先 待つ人がいる 両手を伸ばすと最後のしずく落ちる こぼれた涙は乾き 微笑みが戻る 橋の向こうから 茜に空が染まる 明日は広げた傘に陽の匂い集め 誰かが流した涙を空に帰す