東へ船は進む 水面を這うが如く 緩慢な速度で 夜毎に集い来たる 船客の喧騒は 一枚、硝子の向こう この閉塞の部屋で 我が恨みをいかにせん もし、狂えたのなら どんなにいいか 付随して浮かぶのは 狂気に侵された 少女の姿 パラノイア かの要塞の国で 我が恨みはいかに ああ 「我を救ひ玉へ、君」 もし、狂えたのなら そう思うたび 現実と幻想の 境界は溶かされる 少女の涙 猶、狂い続ける ただ正常に 現実か幻想か 幻想か現実か 少女か我か パラノイア ※これは森鷗外「舞姫」 のパロディ作品にあたります。