無修正ポルノ

歌詞

歯列矯正で強制的に ずらした顎は歪み曲がった こんな顔面に生んでごめんねと 幼い母の謝罪 海綿体みたいな脳味噌じゃ 抗議する語彙力もつたなくて 化粧も覚えずに勉強してたら 陰部と皮肉られたね 不細工不細工不細工 痛いよ 性別のせいにするなよ 性別が正義じゃねえよ あなたらしくを金に変えれなきゃ 誰も見たくないから死ねよ 潔癖症の液晶は フィルター加工を義務化する 防護服を捨てた僕の姿が 包丁に似ると報告があり 囲われた火柱の先に 無修正ポルノ 同じ肌色を払い落とせば 塩素が自由帳に撒かれた クリーンな国の治安が乱れぬよう 潰して膿を出すと お気に入りのにきびへ射す西陽 いなたいまま日向に立ちたいの この顔面こそが誇りなんだ 個性の補正じゃ嫌だ スマイルスマイルスマイル しないよ 視聴しそびれた未来を 自嘲に怯えず睨んだ 派手な技術の前借りでも ほんとうの奔放を探してた 偽物の獣耳で 戻りたい道がおぼつかない 涙を撥ね飛ばすアイライナーの その強さにさえ罅割れそうな 硝子玉を握って黙る 無修正ポルノ 無駄だと処理した体毛に 産まれたときから守られていた 蛍光色の道徳がなくちゃ 剥きだしの愛は罪なのか グレーな場所に宿るあたたかさは 消毒液が奪ったんだ 喪服を纏った少年少女の こめかみには透明な銃 どうせ等しく灰に帰す 平坦な地面にとける それでも不揃いな肉を曝して ひとつになろうと足掻くのだ 写真には写らなくなるまで 幽霊になる前に焼きつけて 皮膚呼吸　塞ぎこむ君と キスがしたい　今夜 赤いチークを施さなくても こどもみたく泣き腫らしてよ 憎しみを目尻に刻み 黄ばんだ歯で笑える日まで 諦めと呼べば煌めき過ぎた 生命が誇る整形技術 美しい白骨を照らせ 無修正ポルノ