最近、朝になるとすぐに、 夢のままか如何か訊いてしまう。 波打つ陽射しなども、 私の所為だとしてしまう。 そうして、 上の空を極める青い肩を、 強く撫でてしまう。 密かな頼りになる、 偽りの欠伸をすれど。 愛おしい空元気に、 如何してか曇る瞳。 触れ合いは訝しげに、 夕凪はまた歎いて。 厚みの無いガラス越しに、 嗚咽する小雨の音。 影もなく、映える笑顔。 それなら私は水面を揺らす。 「ねぇ、気付いてよ。 それだけでいい」と思った。 甲斐の無い弁明が 試されると言うのならば。 「さぁ、踊ろうよ。 下手くそでいい」と唄った。 懐かしい声色は泡沫になった。 最近、夜になるとすぐに、 現か如何か尋いてしまう。 靉靆く光芒なども、 私の聲だとしてしまう。 太陽の生まれ変わり、 装って月は衒う。 存在を黒で模倣って、 無機質に笑うけれど。 偽物のダイヤ越しに、 追憶が像を結んで、 彗星が頬を伝った。 それから私も隣に列(なら)んだ。 「ねぇ、気付いてよ。 それだけでいい」と祈った。 価値の無い証明が 聴されると言うのならば。 「さぁ、話そうよ。 撫でて欲しい」と願った。 柔らかい表情は微風になった。 「だから、もう大丈夫。 これだけでいい」と誓った。 価値の有る運命に 写し変えられるのならば。 「あぁ、抱きしめて。 冷たくていい」と叫んだ。 温かい歌声は三日月になった。 もし、もう一度だけ息衝くとすれば ーー静寂奏でる、心鳴らす。 私は閑かに微笑み続ける。 気付いてくれたら、幸せだから。 「ねぇ、気付いてよ。 それだけは無い」と笑った。 宛ての無い天命は 叶わないと呟いたなら、 「ねぇ、泣かないで。 また逢えるよ」と笑った。 眼に宿る後悔は白波になった。 「だからさ、笑ってよ。 それだけでいい」と笑った。 戻らない現実は正夢になった。 「ねぇ、気付いてよ。 それだけでいい」と判った。 恋と言う屁理屈を 真実だとするのならば。 「あぁ、覚めないで。 このままがいい」と踊った。 愛と言う温もりは想い出になった。 どこかで巡り合うことも あるかもしれないけれど、 心で嘘だと解っているから。 「あぁ、抱きしめて。 それだけでいい」と想った。 彼方との想い出は泡沫になった。 「だから…ね? 泣かないで?」 「あぁ、抱きしめて…」 「ねぇ、消えないで…」