【 ヨイトマケの歌 】 《 丸山明宏 》 父ちゃんのためなら エンヤコラ 母ちゃんのためなら エンヤコラ もひとつおまけに エンヤコラ 今も聞こえる ヨイトマケの唄 今も聞こえる あの子守唄 工事現場の昼休み たばこふかして 目を閉じりゃ 聞こえてくるよ あの唄が 働く土方の あの唄が 貧しい土方の あの唄が 子供の頃に小学校で ヨイトマケの子供 きたない子供と いじめぬかれて はやされて くやし涙に暮れながら 泣いて帰った道すがら 母ちゃんの働くとこを見た 母ちゃんの働くとこを見た 姉さんかぶりで 泥にまみれて 日にやけながら 汗を流して 男に混じって ツナを引き 天に向かって 声あげて 力の限り 唄ってた 母ちゃんの働くとこを見た 母ちゃんの働くとこを見た なぐさめてもらおう 抱いてもらおうと 息をはずませ 帰ってはきたが 母ちゃんの姿 見たときに 泣いた涙も忘れ果て 帰って行ったよ 学校へ 勉強するよと言いながら 勉強するよと言いながら あれから何年経ったことだろう 高校も出たし大学も出た 今じゃ機械の世の中で おまけに僕はエンジニア 苦労苦労で死んでった 母ちゃん見てくれ この姿 母ちゃん見てくれ この姿 何度か僕もぐれかけたけど やくざな道は踏まずに済んだ どんなきれいな唄よりも どんなきれいな声よりも 僕を励ましなぐさめた 母ちゃんの唄こそ 世界一 母ちゃんの唄こそ 世界一 今も聞こえる ヨイトマケの唄 今も聞こえる あの子守唄 父ちゃんのためなら エンヤコラ 子どものためなら エンヤコラ