今は昔、竹取の翁 本光る竹一筋ありけり それ見れば、三寸ばかりなる 名は「輝夜」 いと美しうて居たり 貴(あて)なるも賤(いや)しきも 「いかでこの姫を得てしがな、 見てしがな。」と惑ふ 月夜に照らされ君は舞う 儚き想い巡らせ ひと時の夢と知るでしょう やがて月へ還る頃 夕闇に、物を想はぬ 気色(けしき)なり 月のほどになりぬれば なよ竹の我が身の程は この國(せかい)の人にもあらずと 今宵、 十五夜に 天(あま)の羽衣(はごろも) 纏えば 「どうか、我の事は忘れて...」 と泣いた 月夜に照らされ君は往く 天(あま)つ空越え 服(まつろ)う ひと時の恋忘れぬでしょう 千代に時を重ねても 輝夜、美しき人よ