野菜をあらっていたら 台所の窓ごしに ひとではないひとが 問いかけてくるんだった 宿はどこですか 知りません 宿はどこですか 知りません 宿はどこですか 知りません まるでひとであるようなひとは 落胆して 冬のなかに帰っていく わたしはひとでなしと 叫ぶこともできた 優しくすることはない そうしてあらう野菜が すりきれてぼろぼろになって 原型をとどめなくなって 今日も変哲なく暮れて いますぐ逃げることもできた 優しくすることはない 同じように 優しくすることもできる ひとでなしがひとのように 群れている あたたかいのでしょうね