忘れ去られたお人形 琥珀の瞳(め)は灰曇り 埃だらけの屋根裏部屋で いつかの昔を夢にみていた お揃いの金の瞳が かわいいお姫様 髪を撫でる小さな手のひらは なによりやさしさに満ちていた 背中の薇を 巻きなおし 巻きなおし 覚えた歌ひとつ くりかえし くりかえし あなたのために くりかえし そんな日々が 幸せだった 置いて行かれたお人形 冷たいすきま風に吹かれて 埃だらけの屋根裏部屋で いつかのぬくもりを夢にみていた 動かぬ薇を 巻いてほしい 巻いてほしい 覚えた歌さえも 忌々しい 忌々しい あなたのためだけに 夢でもいい 歌わせてほしいもう一度 はらはらと こぼれ落ちた雫(なみだ) 歌をなくしたお人形 陶磁の肌は黒煤み 埃だらけの屋根裏部屋で 夢みることさえ忘れていた やっと目を覚ますお人形 いつかより大きな腕に抱かれて 光溢れる子供部屋で 懐かしい歌を思い出す よく似ている金の瞳が かわいいお姫様 頬を撫でる小さな手のひらは なによりやさしさに満ちている 夢みたものは此処にあると 永く幸せな夢をみる