ビーカーの中で蠢いた ちっちゃなちっちゃな悪意の種 生まれた片割れの一つ その名も「ヘンゼル」 たとえその身が朽ちようと 何度でも繰り返す転生 それは神の所業 そして悪魔の悪戯 ある時は森にすむ木こりの子 悪い魔女をかまどに放り込め ある時は悪食の召使 頭の悪い家畜世話係 またある時は五番目のピエロ 偉大なサンタクロースの息子 そしてその正体は 正統なる終末の使徒 満月の輝く夜 ヘンゼルは現れる 光帯びた凶器をその手に持ち それが銀のナイフか あるいはガラスの小瓶かは 彼の目の前に立つあなた次第 四柱の神に創られた ちっちゃなちっちゃなこの世界 悪意を排除したはずの 千年王国 ルールの中で用意された 四つの異なるエンディング 少年を手にした者が それを選ぶだろう 墓場の主は死をもたらす 全ての者は主の胃袋に 法廷の主は審判をもたらす 全ての者は裁きを受ける 冥界の主は地獄をもたらす 全ての者は永遠に許されない 天界の主は贖罪をもたらし ユートピアへと導くだろう いずれかの終末が 世界に訪れる それを避けることはけしてできない 定められた結末か 歪められたイレギュラーか 「罰」は等しく皆に下される 千年の時を越え ヘンゼルは現れる 自らの宿命も知らぬままに 彼を天使にするか 狂気の使い魔にするかは 彼の目の前に立つあなた次第