胸の底で 沈んでいた秘密の果実を 君にだけ あげたいのよ いいでしょ あぁ、まだあげ初(そ)めし前髪 林檎を摘みとって 空色のソファに 仔猫と眠ると あの夏の日の海 まだそばにある 閉じ込めた貝殻 吐息で壊した 波が鳴る 満月 とてもきれいね 初音 切なく あ 小鳥が詠う 寂しい夜 ひとりで海岸歩いた 潮風が 薄い胸に 響いた 出逢いは刹那 初めての恋 つれてきた <まだ誰も君には 傷をつけてない> 君はその声でね そっとささやく ずっと聴こえていた悲しい歌にね さよならを告げよう もうひとりじゃない 虹が消えてく ね 雨を連れてね 昨日までのわたしは そう誰かのために 涙の粒 散らしたことなかった あぁ、君に逢って そう初めて泣いた 祈るように やさしく白き手をそっとのべて 林檎を 君にあげたいの 風ながれる そのゆくえを わたしはみたいの 海の果て 空の彼方 ついてゆく あぁ、悲しい歌はもうきこえない 飛びたてる 月は 今宵 かすかにさす光、横顔に 旅立ちの歌が ほら聴こえるよ あぁ、歩き出そう 窓をあけたなら まっている その胸に