だんだん目が回って 夕焼けが燦々空に散っていった 滲み出す雲に 言葉が出なくなるのは何故? 遠回りの近道と廃り果てた線路 湿った手を掴んだまま速足で進む 互い違いの畦道が 水みたいに揺らいで 蝉の音を暈したまま 立ち尽くしていた 夏が昨日を通り越していく 草の匂い にわか雨の温度 混ざりあったら 僕らが今日まで知らない日々は 数え切れない鱗雲の奥で 確かに呼んでいる 泥に塗れた僕の手を拒むように 「難しい」ってはにかんだ 君と僕とじゃ違うから だんだん目が回って 夕暮れが燦々空に散っていった 思い出す程に 言葉が出なくなるのは何故? 道連れに賛成なら笑って 疾っくに遠く離れた君はただ 見たことのない色に染まった瞳で あぁ、瞬きの一つもしないまま 大人なんかには解らない 色を見ている あぁ、融け落ちて往く 燃ゆる日の秘密を 鮮やかに綴じ込めて 忘れよう 色褪せぬように もどかしさと一緒に 思い出してしまわない様に 遠回りの帰り道に 通り風が吹いて 一人ぼっちのサイレンが 響いては消える 変わり果てた蝉達の 叶わなかった想いを 終わった夏の正体を 僕達は知らない 西日の奥から太陽の影が這っていく 暮れ泥んでいく今日が もう少しで終わるから だんだん目が回って 夕映えが燦々目に滲んで行った 当然だったのに 涙が落ちていくのは何故? 約束はさんざっぱらに舞って 疾っくに遠く離れた君はもう 僕も同じ色に染まって忘れよう あぁ「さよなら」の 一つもしないまま 大人なんかには解らない 色を見ていた 今日の日のことも END