ビイドロは 蠱惑的な仄色 真空を立体に刳り貫いて 少しだけ 溶かした硝子に染む 弧を描いて 滲む色は アイボリー 早過ぎる風が消した 砂丘の花穂は何処 繋ぎ止める術もなく 乾いた砂になる 輪の中で思い描く時間の 断面図 シンメトリィな形 いつもなら 気にもしない隙間に 入り込む 桎梏と食い違い レース編みのケープ 日傘代わりにして翳す 黒く散らすドット 揺らしては踊るダンス 水平のラインを目印にして 温く褪めた気流 攫って消した 音も立てず 色も変えず 砂と一緒に 三分を 行き交う凪の景色 ひとすじの 象牙色に見蕩れて 飽きず