我が母の「おかえり」に それとなく 照れ隠し 土産話 こういうことに泣けてくる夜は そこへちょっと腰をそっと下ろし 嗚呼 こういう風に月を静かに しばし、ものおもいに耽ってみる 我が父の背にはいまだ およばねども 肩を並べて 世間話を こういうことに泣けてくる夜は そこへちょっと腰をそっと下ろし 嗚呼、こういう風に星にささやく しばし、ものおもいに耽ってみる 亡き祖母の家の前を 通りすがり 振り向けば あの懐かしき笑顔 亡き叔父の部屋はひとり 山 見渡せば のぼり階段 叔母の呼ぶ声 こういうことに泣けてくる夜は そこへちょっと腰をそっと下ろし 嗚呼、こういう風に泣けてくる夜は しばしものおもいに耽ってみる しばし、ものおもいに耽ってみる 今はものおもいに耽って 耽ってみる