ショコラさんのパンケーキ屋さん

歌詞

男は疲れ果てていました 仕事も家庭も 何もかもうまくいかなくて 途方に暮れてしまっていました 男の顔色は 曇り空のように どんよりとしていて ここしばらくは 何を食べても 美味しく感じられません あまりにも疲れていたせいか 電車の中で携帯電話を 落としてしまって 落とし物を引き取りに 知らない街の駅までやって来ました 携帯電話を受け取って ふと気がついたら 駅から路地裏の方へと ふらふらと歩き出していました どのくらい歩いたでしょうか どこからか いい匂いが漂って来ました 甘ーい メープルシロップの匂いがして 思わず足が止まりました 狭い路地の奥の 行き止まりになった隅っこに ちょこんと小さな看板が出ています 「ショコラさんのパンケーキ 屋さん」と チョークで小さく書いてあります 男は何かに導かれるかのようにして 看板の置いてある 円形の入り口をくぐって 石畳の階段を降りていきました 「ごめんくださーい」 声をかけてみますが 返事はありません 誰もいないのでしょうか 切り株の形をしたテーブルの上に たった今 焼き上がったばかりの まあるいパンケーキが 8枚も重ねられたお皿が 置いてありました パンケーキの一番上には バターとメープルシロップが たっぷりとかかっています なんて美味しそうなんでしょう! 男は何も考えられなくなって 用意されていた フォークとナイフを手にとって むしゃむしゃと食べ始めました ふっくらもちもちした生地は 今まで食べた中でも とびっきりの美味しさでした こんなに美味しい食べ 物がこの世にあるなんて! 夢中で食べ続けました 食べ終わったとき いつの間にか 男の頬には涙が流れていました やっと我に返って 「ショコラさんのパンケーキ 屋さん」と 携帯電話で検索すると 「ご来店ありがとうございます!」 と メッセージが表示されました! そしてチャリン♪と音がして 777円 pay payで決済されたのでした おなかがいっぱいになって 満たされた男は 不思議と元気が出てきて この状況を疑問に思うこともなく 店を後にして 自分の住む街へと 電車で帰って行きました