何もないと あなたは言う この町には 何も 暗くなりかけた 空の下で 寂しそうに笑う 夏は暑いし 冬は寒いし電車は あんま来ないし それでもこの町にいるのは お酒の 美味しさだけじゃないでしょう 青い空とか 白い雲とか いつでも見られるわけじゃないけど なんかあるんだよ この町には 変わらないままで 夕方の駅が吐き出した たくさんの学生服たち 当たり前だけど 帰る場所が この町のどこかにあるんだな いつかは旅立つとしても 帰る場所が増えるだけで 無くなるわけじゃない 居なくなるわけでもない この町に残る理由が いつの間にか わからなくなっても 過ごした時間は 増えてく 町を離れる人の中には 涙流す人もいたでしょう 嬉しくて 泣いていたわけじゃ ないだろうから オレンジ色の体育館も やたらとデカい市民ホールも 誰かと居たから 楽しかったってことが 今はもう ここには無いけれどでも あなたが だからこそ あなたが 誰より 覚えていてよ 人を思いやる気持ちや 余裕が無い時のありがとうは 形が無いから そこにあるのに 気付かないこともある それと 同じようなもんさ ずっとここに あるはずだよ あるいはそう 照れくさいだけで 何もないと あなたは言う この町には 何も 何もないとボヤく あなたが 今日もここにいる
