今日もどこかで風に揺れている 名もない一粒の麦のように 時の流れにも鉄の雨にも逆らわずに ただ生きられたら めぐり逢ってここに生きているよ 誰もが一人きりの旅人 生まれた意味を互いに探し埋めようとしながら 凹凸でせっかちな社会では 時に悲しみを選んでゆくよ アスファルトにたまった潦 この世界にあふれ出す どこかで失った道しるべを 気づかずに人は忘れてゆく ふるさとの声音は優しいまま 今夜もほらこだましている 耳を澄まして 朝焼けの名残りを抱いて静かにまた陽は昇ってゆく 仄暗い夢照らすいつかの青空探しながら 蝋燭のような灯みたい この街に浮かんだネオンの束 幸せを悲しみで塗りつぶし 人は夢を捨ててゆく 誰かの涙が流れる度に 傷つけずにもう愛せなくて 分け合うことも許しあうことも できないまままだ何かを 期待しているよ 大地に競う協奏曲 交われない奏と 命の河が流れてゆく もう一度生きるため 泣いて泣いて泣き疲れた後に かすかな希望というあかしを 少しずつ心にたぐり寄せて 遥かな道歩き出そう 始まりの鐘が聞こえるだろう 愛しい人はそこにいるだろう いつまでも僕らは鳴りやまない あきるほどに明日を生きる 足音が響くよ