淡い気泡(きぼう) 天(そら)高く ただ沈んでく少女 そこに意味はなくて ただ滲んでく今日も 息もせずに 直線に 限りなく 暗く深く心地よく けれど 不思議な海 目も開けずに煌めくウミツキの 光の指す底へ 海はただ黒くて 少女はただ白くて 冷たいまま命は沈んでいく あたたかく まばゆく 脈打つ 海面(うなも)の方へと ゆく 赤いシルシ ただ歪(ひず)んでく世界 そこに意志はなくて ただ霞(かす)んでく視界 触れられずに無気力に 目を開けて近づくまぶしい隙間 でもなぜか寒くて 包み込んだ 海潮(うしお)の行くさきの 光はもうそこへ 世界はただ白くて でも少女は黒くて 静かに共鳴する糸が切れる ぬくもりのやさしさの 海面(うなも)ははるか遠く もう 戻れなくて 不意に世界が翻る 重力も光までも 宇宙(そら)はただ黒くて 少女はただ白くて 一粒の雫はそっと浮かんでく 冷たく暗くだけどひろい宇宙の中へ 向く 淡い気泡(きぼう)