足音のひとつも立てずに そこに夏は来ていた 入道雲のつくる日陰に 腰かけ開ける氷菓 君が捲った袖で拭うのが 汗でなく涙の様で そんな、予感なんだけどどうかな 君は去っていくんだね 町を去っていくんだね 私に笑って告げた君は哀しげで そんな、予感なんだけどどうかな 帰り道ふたりきり 元気で 元気でね 憶えているからね 元気で 元気でね 今の私は残暑の過ごし方すら 知らなかった 花火のように消えるはずない記憶、 飲み込む氷菓 待ちくたびれたバス停も 君がいればそれで良かった これが、答えなんだけどどうかな 君は去っていったの 町を去っていたの 詰まる言葉を待ってくれていた君へ これが、答えなんだけどどうかな 帰り道最後の日 行かないで 行かないでと 本当は言いたかったの 行かないで 行かないでと