俺たち毎年夏になると海に行くのさ みんなで車で246を南に向かって 明け方前のまだ暗い海岸に着いて 波打ち際を裸足で歩いて 星を見るのさ ほんの 少しの ことで 壊れてしまう 毎日を離れて おお おお 夏の夜さ 辻堂の海岸へと続く道 婆さんの家に 車停めて おお おお 夏の夜さ 白い砂浜に腰を下ろし 沈む星を探しに行こう 「人は死んだらどうなるの?」って 90歳の婆さんが訊く 「それは死んだ人に聞かないと わからない」爺さんは言う だから俺にもわからないよ 人は死んだら どこに行くのか だけどそれほど悪いところに 行くわけじゃないような気がするよ 夏の 光浴びて 赤く 膨らんだトマトに 月が揺れる おお おお 夏の夜さ 満たされないことは不幸ではない ずっと同じ話をしよう おお おお 夏の夜さ みんな最後は手ぶらで旅に立つ 乾いた骨を 拾う おお おお 夏の光 歩道橋で立ち尽くす 海岸前の車道 おお おお 夏を歩く 風に散った砂を踏む 海岸前の車道