汝生れけり 空ごと喰ひ尽くしたら 笑まひ溢れた どんな糧より甘く甘く つゆも知らず 疎ましきひとよ 心憂さ消えぬ 飢へて死なしむるは近ひゐつか 孤濁に 冷ゑに 怯へて 耐へず 恐れ 我はわななけり さすらひゆく身なれば 繞らす空氣 そのうちには 未だ名ほ遺してゐる 汝見ゆ 去り行くその影を踏む 額擦り寄せた砂のうへ 蝶は飛び立つ ひらひら… 身じろがずに 胸騒ぎよ ひとつになる目ざしのなか 燃ゆるとき 見つけき! 汝のあかしを 骨よ墓よ 生を超へて 夢をみる 汝 生まれけり 暮れゆく夕空のしたで歌ふ さあ 並ぶアルペジオとなりて眠る
