Track by水谷豊
手暗がりのペン先が 乾いたままで 動かない 傷つけた日の 素顔のように 動かない 書き残した言葉が こころの中で 沈みだす 馬鹿げた意地が 夜に溺れて 迷いだす 男の手紙には 遊びもなければ 季節もない 読み返すたびごとに インクの跡が汚点(シミ)になる ひねりつぶした 煙草の苦さ 汚点(シミ)になる 男の手紙には 年輪が増えるだけ ひと文字ごと 男の手紙には 遊びもなければ 季節もない