七に二をたしゃ九になるが 九になりゃまだまだいい方で 四に四をたしても苦になって 夢は夜ひらく サルトル マルクス並べても あしたの天気はわからねえ ヤクザ映画の看板に 夢は夜ひらく 風呂屋に続く暗い道 40円の栄光は 明日のジョーにもなれないで 夢は夜ひらく 八百屋の裏で泣いていた 子供背負った泥棒よ キャベツひとつ盗むのに 涙はいらないぜ 四畳半のアパートで それでも毎日やるものは ヌード写真に飛び散った カルピスふくことよ 赤提灯に人生論 やけに悲しくつり合うが コップひとつの幸せを なんで飲み終る 生まれ故郷の小泊じゃ 今日もシケだといっている 現金書留きたといい 走る妹よ 本当に行くというのなら この包丁で母さんを 刺してから行け 行くのなら そんな日もあった 夢は夜ひらく唄っても ひらく夢などあるじゃなし まして夜などくるじゃなし 夢は夜ひらく