bonny ebony black swan

歌詞

これよりこの弓が奏で奉るのは ひとりのあわれなる娘のみに起きた ありふれた悲劇 さぞかし皆様お気に召すでしょう その顛末を語る嵐の歌 丘の裾を縫い　ひた走る河 ほとりに麗しの花 まどろむ朝　はた並び立つ 二人の令嬢 亜麻色の髪は優雅に 水面をきらめかせ 黒檀の髪はたおやかに 波間に影を差す 密かに這い寄る 魔性は乙女そそのかし 片方は昏い淵へと落ちてゆく 魂まで凍らせて 滔々とただ浮き沈み こぼれる涙たちまち溶けて 澱みに凝り集る この身を飾る一切はただ腐り落ち 流れつくのはわずかな残骸と 尽きせぬ嘆きだけ 猛り唸れ　風と雨の唄よ 彼れの罪を暴き立てておくれ 横煩う末　為果たして笑み 悋気は嗜みと 花ついえる夜 遺されし愛 かすめる令嬢 冷ややかに寄せるせせらぎ その閑かな岸辺 人知れず絶える死姿は 眠れる黒鳥の 通りかかった旅のフィドル弾きが 朽ちかけた彼女をすくって 陽に晒して 指先の小さな骨は糸巻きに しなやかな髪は弓毛に張った この腕にかけて 物言わぬ君の代わりになるなら さあ　水上の城まで連れてまいろう 玉座には王とお妃　そして王女と婿 捧げたる唄は黒曇を呼び寄せる旋律 おやおや　みなさま どうしたことか 顔色がよろしくない しかし　どうか最後まで 魂まで凍らせて 滔々とただ浮き沈み こぼれる涙たちまち溶けて 澱みに凝り集る この身を飾る一切はただ腐り落ち 流れつくのはわずかな残骸と 尽きせぬ嘆きだけ 猛り唸れ　風と雨の唄よ 彼れの罪を暴き立てるように 咽び唸れ　風と雨の唄よ 我の科を安んずることなかれ！