君は手で作った影で フィルムの明かりを噛んでる やめなよって言ったけど 僕も指先で噛んでみる 日常のはじっこで始めた 小さな壁際のシネマクラブ 拾えなかったセリフ 幻になる伏線 さっき出来立ての 名作をループで見なおす 行き当たりばったりな 美しさに 僕ら目を離せなくなってた ああこんなだったっけ そうだっけ 君がぱっとこっちに手を振るシーン この瞬間 僕らは終わりを知ってた? いや まだ 思いつかずに ああこんなだったっけ そうだっけ 僕の手がブレて奇跡的なシーン その瞬間 クランクアップ カメラを下ろしても まだ君はそこにいた 転がりあってじゃれあって おんなじ歌を歌っている 今更って言いながら 青臭い映画も観てみる ぎりぎりアウトでもいいから 誰も見てないうちに全部試そう ちょっとシュールなセリフ 爆発で片付く伏線 笑っていたけど 終わると思うと切ない 泣いちゃって冷めても嫌だから 僕ら目を合わせなくなってしまう ああ終わるんだな そうだっけ 君がぱっと僕の指に触れて その瞬間 涙が きっとバレてた でも 君は 何も言わず ああどんなだったっけ どうだっけ 今すべてがブレてぼやけていく 気づけば クランクアップ 君はいなかった 二人だけが知っているエンディング 客席はがらんとしている 悲劇的 喜劇的な結末を いくつも描いて なんども破って 辿り着いた終わり方 ああこんなだったっけ そうだっけ 君がぱっとこっちに手を振るシーン 合わないピントに 僕は焦ってた でも 君は 真っ直ぐに ああこんなだったっけ そうだっけ 君がぱっと笑って僕をみる その瞬間 口から 思いがけずに 言葉が出てた なあ これからもさ ずっとさ そこで口籠って永遠のシーン 本当の クランクアップ カメラを下ろしても まだ君はそこにいた