コムラサキなら七月の 暮れたばかりの空の色 今は遠くへ行ったひと わずかに茜残し あれはゆかたの行列が 山の小径を見え隠れ 蛍のような提灯を 星へと運んでゆく 私は橋の袂で あなたへと届くように ひっそりと ああ ひっそりと 心の機を織るの 耳をふるわす風の音は 眠り遅れたぎんやんま いつかまたねとささやいて 石ころ渡ってゆく 私はつゆ草さした 夏の夜の晴れ姿で きらきらと ああ きらきらと 涙をこぼしてるの 哀しい夢をすすぐには 笹にせせらぐ川上の 汲めばちぎれるつめたさに いくつも舟を浮かべ 私はひとり座って あなたに会う日想って ひっそりと ああ ひっそりと 心の機を織るの きらきらと ああ きらきらと 涙をこぼしてるの