「日常」それは変わらないもの あるいは変わっていった先のこと 感情や出来事が平坦になる頃 有り難いことが当たり前になる頃 あれだけ惜しんだ別れでさえ あれだけ抱いた怒りでさえ 忘れはしないが掠れていく 「今」から見れば過去は等しく 「今度会ったら 殴り合いの喧嘩になるかもな」 そんな元親友と 十年越しに再開した時 意外にもそんな気持ちは胸に湧かず どこかぎこちないけれど言葉を 交わす お互い許した訳じゃない 好きか嫌いなら未だに嫌い 「どうでもいい」が思い出を超えた その時俺らは「他人」になった まるでドラマみたいだと思うような 事も 信じられない奇跡もある程度は 起こる けど決して物語になりえないのは そこでエンドロールが流れないから 乗り越える事も決別する事も 案外人生では起こらない 気付けば未来は今に変わり やがて現在は過去に溶ける 誰かに選ばれることも無く 何かに描かれることも無い 日常という優しくも激しい流れが 自分を削り取って呑み込んでいく 何かになりたいと身体中に貼る ラベル 時間が経てばそれもいつか剥がれる その跡こそが自分だとも気付かずに 最初からここに在る自分を認めずに 意味のない事に意味を見つけたがる この日々の中に意義を見つけたがる いつだって誰かと比べて 不確定な明日が不安で 俺の今に価値がないとしたら 過去も全部無駄になるのかな けどそうじゃないんだよきっと 多分それだけじゃないんだよ 今居る場所が俺の全てで 今在る過去が俺の全てだ どうなろうと、どうしようもない 思い出振り返るだけの毎日 今居る日々が俺の全てで 今有る物が俺の全てだ どうなろうと、どうしようもない 過去に帰ることなんてない 今居る君が俺の全てで 今ある道が俺の全てだ どうなろうと、どうしようもない 一つだって代えが効かない人生 今行く先が俺の未来で 今見る明日が俺の光だ どうなろうと、もう行くしかない 唯一変えることができる それは現在