華やかな東京から 何もない田舎に嫁いだ あなたは小さな体で ずっと家族を守ってきた 幼い頃 古本屋で 買ってくれた「星の王子さま」 暮らしに余裕はないけれど 精いっぱいの愛を紡いだ 学生時代 放課後の喫茶店 待ち合わせたゆりの木通り 青春の日々 悩みさえも ソーダの泡のように消えた 雨の日も風の日も 変わらないやさしさで愛してくれた おかげさまで私は生きてる あなたのような人になりたい 二十歳を過ぎてすぐに 好きな人のもとへ嫁いだ 私は世間知らずなまま ずっと家族に守られていた 一人前になったと 勘違いする私は いつまでも子どもじゃない と 精いっぱいもがき続けてた 年老いた声 受話器の前で 忙しそうにしててごめん あなたはきっと あの頃のように 話をしたかったんだね いつまでも手を振って 見送られると急に寂しくなる 大人になっても私はあなたの 子どもでいたい 大切なものは目には見えないことを かたちのない愛を教えてくれた人 ありがとう お母さん 私も母になって気づいたよ 陰ながらいつも家族を 思う人になりたい 雨の日も風の日も 変わらないやさしさで愛してくれる たったひとりの私のお母さん あなたのような人になりたい いつまでも 元気でいてね