時刻表の地図を 指でなぞってゆくと 心のアルバムに しまってたなつかしい駅につく 最后の夏だから 思い出だけがほしかった 人を傷つけても それを思い出にした 遠野の町に白い日記を ボストンバックにつめて来た僕に 昔々のおどき話で ページをうめてくれた君 明日は帰るという 月夜の晩の福泉寺 好きだと口づけた すすきの野辺よ またいつか会えるかしらと そう云って君は泣いた きっとむかえに来るよと そういって僕は黙った 駅までの道を 青いリンゴをかじった やけにすっぱい味が 今でも心にしみている 遠野の町を自転車に乗り すずんだ笛吹峠で この町が好きと 言った君の眼は 仔馬のように澄んでいた あの町に帰りたい あの頃をやり直したい 今でも残ってるだろか 古い曲り家よ あの町に帰りたい あの頃をやり直したい 今でも残ってるだろか 古い曲り家よ