大人になった僕は 捨て去った季節を辿る 置き忘れた透明や群青は もう無いんだろう 噎せ返るような炎天下 あの頃と同じだ お気に入りだった夏帽子はもう ぼろぼろだ 毒を吐くのは嫌いだった 消極もエゴもうんざりだった 否定は消えて欲しかった でもいつしかそうなっていたんだ 覚めない夢の呪縛や苦しみも 傍から見りゃただのごっこ 遊びだろう 懐色も虚色も 無慈悲なくらいに鮮やかで こんな理想論は叶わないなんて 僕だって分かってるんだ 敗北だ間違いだ でもまだ認めたくないんだ ただ独りよがりで今日も腐っていく 破り捨てたはずの空の下 風光明媚な快晴に嫌気が差すのは 汚れて失った事を知るのが怖いから 褒められるのは苦手だった 賞賛なんてどうでもよかった ただ目にもの見せたかった でも醜さだけが残った 覚めない夢に終わりが来ないのは 今の自分さえも 否定したくはないから 懐色が虚色が 残酷なほどに眩しくて 夢物語の主人公の僕には まだ分からなかった 強がりだ自惚れだ でもどこかで気付いてたんだ 今日も下手な嘘で孤独を騙す でたらめなんかじゃなかった なにもかも本気だったんだ でもどうやっても無理だった 限界だ 僕には出来なかった 才能も愛想も狡猾さも 全部きっと持ってなかった 何も 懐色は虚色は 後悔と意地と憧れなんだ こんな自己否定に意味が無いなんて そんなの分かってたんだ 敗北だ間違いだ でもまだ認めたくないんだ ただ独りよがりで今日も腐っていく 消えることのない夏空の色