燃え尽きるほど火照った山並み 夜の帳が覆い隠していく 中秋の月が咲く頃に できるだけ空に近い場所に登る ふたりのためにと書いた詩でさえも 月くらい遠い昨日 君にフォーカスを合わしては暈して を繰り返して 表面にはなにもなくて フォーカスを合わして暈してを繰り 返して 金木犀の香りだけが通り過ぎていく 手に持つ缶コーヒーの温もり 淡く儚い希望と同じ温度 ぐっと口にする度に広がる まだ叶わない夢と同じ苦味 ふわり浮かぶ雲が奪っていった 黒髪 声 目に映る全部 鎖みたく解けぬ君との思い出 忘れようとしたけど フォーカスを合わしては暈してを繰 り返して 自分に嘘はつけないね フォーカスを合わしては暈してを繰 り返して 金木犀の香りだけが過ぎる あれから何千何万回もの夜を越えて フォーカスを合わしては暈してを繰 り返して 金木犀の香りだけが 君に似ている香りだけが通り過ぎて いく