ラーメンの丼(どんぶり)の底を 箸で何度も掬(すく)いながら 麺が引っかからないか ぐるぐるかき混ぜた 本当はとっくにわかってる もう何にも残ってないこと 俺たちの関係も いつの間にか終わっていた 安っぽい合板のカウンターで (一人きりは寂しすぎて 席を立つなんてできない) 有線で流れる懐かしい痛み (憂歌団だって思い出したよ) 心がしょっぱくて… コップの水が旨かった ただそれだけで泣けて来た おまえがこんな好きなら ちゃんと言えばよかったんだ 路地裏の 見落としそうな暖簾をくぐって 大切な 何かに気づくなんて遅すぎるよな ラーメンのスープまで全部飲んで 大きく息を吐いて カロリー摂りすぎだって ちょっと後悔した 確かメンマが嫌いだったね? 未練がましいこと思い出す あの頃は黙々と おまえの分もメンマ食べた 愛って 一体何なんだろう? (お互いのこと思いやれる やさしさと余裕かな) 店の戸を開けたら 風が吹いて (火照った頬が不意に痛かった) 涙が出て来るよ 普通の水が旨かった 浄水器のない水道水 別れたくなかったんなら かっこつけなきゃよかったよね 交差点に思い残し 背中向けた ちっぽけな自分が嫌になって 空き缶蹴った 例えばここでラーメン食べて なかったら気づかない こんな普通の水を ありがたく思わないだろう コップの水が旨かった ただそれだけで泣けて来た おまえがこんな好きなら ちゃんと言えばよかったんだ 路地裏の 見落としそうな暖簾をくぐって 大切な 何かに気づくなんて遅すぎるよな