毛細血管がぶちぶちと 音をたてながら 1本 2本 3本 4本と 切れていくように 今まであった出来事が 確かにあった出来事が あぶくのように毎日少しずつ 弾け飛んでゆく もしも記憶のバケツが いっぱいになってるんなら これから起こる新しい出来事から 消して欲しい 未来とか可能性とか そんなあやふやなものより 今まであった出来事を ひとつ残らず 忘れずに 愛していたい 自分の周りぐらい 愛してみたい 出来る限り 出来る限り 人間なんて生き物は 誰でも年を重ねると 今まであった出来事を 自然に美化しようとする ぶざまでみじめで 本当にどうしようもない日々を かなり大げさに ドラマチックに話を塗り変えて 脳ミソが勝手に 無駄な記憶と判断したもの ほんの些細なくだらない事 パッとしない景色 全て忘れてしまったら なかった事と同じだな そんなのあんまりすぎないか そんなの寂しすぎないか 愛していたい 自分の周りぐらい 愛してみたい 出来る限り 出来る限り 本音だよ 愛していたい 自分の周りぐらい 周りぐらい 愛してみたい 出来る限り 出来る限り 真夏の光線 冬の頬っぺた 風邪の日の夢 踏切の音 君の肌 子供の声 犬の匂い ドブ川に浮かんだコーヒーの缶 初めて嘘をついた日の夜 初めて感じた憂鬱 中途半端な別れ際 校舎の影 自転車のサビ 返し忘れた図書館の本 言い出せなかった言葉 涙のすじとロックンロール 真夜中 空 永遠の感触 忘れるな 忘れるな 忘れるな 忘れるな 忘れるな 忘れるな 忘れるな 忘れない