せめて 抱いて 抱いて 抱いて 抱いて 今宵 愛しい人よ 嗚呼 届かぬ想いよ 暮れかかる秋空 貴方を重ねる日々 深い溟い海の底へ 心堕ちていきます 愛してはいけない 思えば思うほどに 気持ちは 惹かれゆくの 波間の影ゆらりゆらり 叶うわけもない 夢に溺れた私は トビウオの様に 息をとめて また空に憧れるの 私 啼いて 啼いて 啼いて 啼いて 息も止まるくらいに 涙は海に滲むの 憎いほど はばたいて 足掻いて それでも 逢いたい 深く冷たい流れに ひらり 足とられゆくの 夕方の熱に 陽炎はゆれて ひそめど求める日々 黄昏の薫りがします 萌えあがる焔に 濡れた貴方の指が 触れれば また惹かれゆくの 舞い上がる 火の粉の様に 心熔けてゆくの 煤(すす)けた鏡に 映る穢れた私は 風切り羽 毟られた両手で また空に手を伸ばすの せめて 抱いて 抱いて 抱いて 抱いて 今宵 愛しい人よ 肌がやけに疼くの 獣のように はばたいて 足掻いて それでも 逢いたい 激しく乱れた呼吸に ひらり 儚く散りゆけ あざれた恋ごころよ 捻れて悶えて震える軀 いっそ千切れて夜に舞え 月に叢雲 花に風 徒然なるままに 私 啼いて 啼いて 啼いて 啼いて 息も止まるくらいに 涙は海に滲むの 憎いほど はばたいて 足掻いて それでも 逢いたい 深く冷たい流れに ひらり 足とられゆくの 貴方 罪な人ね