「父ちゃん」 毎日飲んでは朝帰り 毎日何かに怒ってる たまらず母ちゃん逃げ出した 僕を連れて逃げ出した 父ちゃん僕を迎えに来て じいちゃんに塩をぶつけられ それでも僕の手を引いて 海へ遊びに連れて行った 父ちゃんの家に泊まったら 二日酔いの父ちゃんに ほっぺた噛まれて嫌な顔 それでも僕を離さない 月ぬ美しゃ十日三日 気持ち良さげに歌い出す 誰も聴かない下手な歌 それでも歌うよ最後まで 夜中に買い出し帰ったら 玄関で飼い犬に吠えられて うるせえ馬鹿犬と怒鳴るけど 買ってきたのは犬のエサ ばぁちゃんと毎日口喧嘩 父ちゃん皆から責められる ある日ばぁちゃん風邪ひいた そっと置いてく風邪薬 それは 誰よりも不器用な男 誰よりも損してる男 だけど僕は知っている 誰よりも優しい男 酒は辞めろと言わないが まだまだ元気でいて欲しい 言いそびれていた事がある もうすぐ俺も親父になる