常夜鬼譚

歌詞

暗い夜を鬼が往く 嗚呼、今宵話すのは とある國の鬼の事 ちょつと強がりで 寂しがりやの女の子 生まれつきその子には 角がなく人の子のよう "混血"の謂れを その小さき身に受けた 殺せ　殺せ　と叫ぶ声 角がなけりや人なのか この心の臓を流るゝ宿命を呪つた 暗い夜を鬼が往く 永い孤独を抱ゐて 痛みより寂しさが先に胸を貫く 曰く付きその子にも 時が経てば鬼の化粧 薄紫の髪とその姿は王様のよう 呑めや歌えや　笑う声 角があれば鬼なのか 赦されようと満たされぬ この孤独が続く限り 暗い夜に鬼は哭く 永い命の故 "鬼の子"として生まれた その意味を今も探して 暗い夜を鬼が往く それは叶わぬ夢 深い海の底まで 誰かその手を伸ばして 人の子も鬼の子も 真（みこと）の名を知らぬまま 皆先立つ運命の中 まだ命は続く 暗い夜に独りきり 暗い夜に花が咲く ふわり、手を引かれて 陽射しのように柔らかな 温もりに身を預けて 暗い夜を鬼が往く 光の射す方へ 幸福だと言える程、 今この時が愛しい 丑三つ時に花が咲く