帰り道 冬の匂いがして 少しだけ君を思い出した 見上げれば それは綺麗で 凛とした月が浮かんでいる いつからか季節も巡りを早めて 戻らない時の砂 賑やかな通りは苦手で 人波を縫うように歩いた 冷たい指先 行き場を失くして ぎゅっと手を強く握りしめた ちょっと高い笑い声も 油断だらけの寝顔も いい加減そうな相槌も 別にあんまり覚えてないし 繋ぐ手と手の温もりも 時折見せる優しさも 二人で過ごした記憶も 必要とはしてないけど それでも今さら思わず 不意に口ずさんでしまうのは いつかの街に溢れていた“ 君の好きな歌” あの頃聴いてたよりも綴られた詩が 悲しくて 何だか冬の匂いが鼻を 刺すように恋しさを誘うよ
