それは、確かに恋だった 寝ても覚めても焦がれてた それも今や昔のこと 名を言う唇もぎこちない 私、あれから随分と 忘れられずにいたのだけど 三度髪を伸ばす程に 時間は流れてしまったのです 好きな人ができました あなたとは似ても似つかぬ人 あなたが雪花なら、 日溜りのような人 覚えていますか 夏を嗤う朽ち葉の音 繋いだ手を温める白んだ息 なぞるように、また私は あなたじゃない人に 頬を 染める 私、あの時なんてったっけ 「初めて愛、知りました」ごっこ 可笑しいでしょ、その人にも 目を見て言うの、おんなじ顔で とても優しい人よ その人はこんな私のことも 可愛いと抱きしめてくれる、 そんな人 お元気ですか お幸せになられましたか 似た笑声に、振り向いたりしますか 初雪舞えど、もう私は あなたじゃない人を 重ね 想う 饐えたあの日々彩った恋慕に すれ違っても、もう気付く事はない あんなに泣いては縋ってたのに あんなに見入って欲しがってたのに 今、あなたと触れ合う誰かが 柔らかく笑う人であれ、と 願えてしまえた凍晴の空 染まった銀に足跡残して 嗚呼、私を呼ぶ声の元へ 「なんでもない」駆け行くは冬化粧 足跡は雪で、また消えるだろう あなたと見た秋も 冬も 春も 覚えていますか 夏を嗤う朽ち葉の音 繋いだ手を温める白んだ息 なぞるように、また私は あなたじゃない人の 胸で 恥じらう