浴室にて、 カイラス 未踏の地から営みを見下ろし 月明かりを頼りに 歌の導きを待つ 咽込んだ孤独の風が 遠き山々の輪郭を撫で 時代がどんどんと乾いていく その流水だけが 私の振幅を観察する 小川のせせらぎが 大地を削る様に 身体 洗い出された諦念が 流れる ビニルのパイプを通って ナイルの畔へと 都市開発 古典から ロマンティックに移り変わる最中 破り捨てられたクレフ 遠く西の土地 無造作に建てられた壁 80年 残る鉄の骨組みや 450年 山中火に落ちた 寺院の様に 書き換えられる 記録 正しいことを 疑うようになったのはいつからか 疑いない人たちが眩しい イデオロギーが 宗教に移り変わるように 煮詰めた思いが 浮世人を焦がす 20世紀 飲み込んだ水が 土に濾されて 繰り返して今に流れる 21世紀 欠けた色彩と共に 進みゆく風は 灰色か 簡素に作られた静謐な空間 朧げな意識と共に思いを馳せる 無機質に還り また一人