もう忘れてしまっていた 古びた写真の一日 何気なく見つけた ほこりだらけの恋愛小説 その中に挟んでいた 一枚の写真 そうあれは卒業帰り 街路樹くぐり抜ける道 陽だまり数えて はしゃいでいた私を捕まえて あなたが初めて映した写真よ それは栞なの ありえない話を閉じさせた あなたとの出会い 振り向くことなど知らず燃えた 麗しい恋人よ あれは春 不思議なほど穏やかな午後だった でも私たちは出て行く 今日まで暮らしたこの部屋 何もかも捨てるの 互いに組み交わした"グラス"さえ 歳月に疲れた すべての形を もう忘れてしまっていた 古びた写真のことは 二人で閉じるの 重ね綴った恋愛小説 最後のページに この写真挟んで それは栞なの 行き詰まる話を閉じさせる 別れゆく明日 これほど懐かしい人だけど 振り向いちゃいけない 色褪せた写真は あまりにも悲しい あれは春 不思議なほど穏やかな午後だった