カッパが私のキッチンで タニシ茹でてる 割と大きめの鍋で 大量に茹でてる 「ごめんごめん、 ガス代はちゃんと払うからさ」 ガス代とかじゃねぇんだよ 金曜日の夜 仕事は終わり 今日は家で一人 TSUTAYAで借りた 「アメリ」を見ながら赤ワイン 家のドアを開け突然の異臭 ふるさとのドブの匂いがする 一人暮らしの私の家の キッチンに緑色の人影 カッパが私のキッチンで タニシ茹でてる キッチンタイマー片手に タニシ茹でてる 「ごめんごめん、 砂抜きは外でやったからさ」 砂抜きとかじゃねぇんだよ 言いたい事は山ほどあるが 声にはならない 前世で一体何したら こんな目に遭うの 「気にしないで お風呂にでも入っててよ」 この状況で風呂なんか入れるか 「ちょうど さっき沸いたところだからさ」 私は戦慄する カッパに親切に お風呂を沸かされてる 帰ったらすぐ入れるように お風呂沸かされてる 「ごめんごめん、 一番風呂は譲るからさ」 二番風呂はやらねぇよ お風呂から上がると カッパの姿はなく キッチンに残された書き置き 「冷蔵庫の中に プレゼントがあります」 カッパに茹でタニシ おすそ分けされてる 小鉢にかわいく盛って ラップされてる 「赤ワインに合う 味付けにしておいたよ」 ていうかガス代もらってねぇぞ