世界の北野武 監督にフォーカスしたプレイリスト第2弾!《北野武 meet 久石譲》
久石譲さんは、
「宮崎駿 監督の時は、アニメーションなので、メロディーを主体に、
北野武 監督の場合は、
僕が20代から挑んできたミニマル・ミュージックの作曲家としての、アーティスティックな面を生かして曲を作ってきた。」
と語ってます。
北野武 監督の作品作りにかけるプライドと、
音楽を通じ作品作りを支える《稀代のメロディー・メーカー》が、
互いの役割を壊しかねない危うさを醸し出しながら、成長しあった奇跡的な幸せな時間...類まれなる作品群……
①⑤『HANA-BI』(98年)……監督・脚本・編集・挿入画・主演 北野武。
同僚の一生を左右する怪我、そして死……妻の不治の病...命をかけて、妻と最後の旅に出る元刑事……
『無法松の一生』以来、40年振りの第54回ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞。他、多数の国際映画祭で賞を取った北野武 監督の代表作!
久石譲さんは、「生のストリングス等を使って、アコースティックな音に仕上げたいと考えました。キレイな音を付けてあげたい。代わりに暴力シーンには音楽は要らない」
と、語ってます。また、
「音を抜くときは、思いっきり抜くことで次第に、後半に行くに従って情感が増してくるんです。
この作品に限らず、沈黙を作るのも、映画音楽の大切な仕事です。」
と、語ってます。
②『BROTHER』(01年)……イギリスのジェレミー・トーマス(『戦場のメリークリスマス』)の共同プロデュースの作品。
日本を追われたヤクザが、死に場所を求めてアメリカでマフィア相手に死闘を繰り広げる…
「北野武 監督からは、エモーショナルな音を要求される事が多くなった」
と久石譲さんが語るように、感傷的で激しく強いメロディー・ラインが印象的な名曲。
③『ソナチネ』(93年)……当初は、『その男凶暴につき2』の続編的な位置付け『沖縄ピエロ』(『気狂いピエロ』のオマージュ)として製作スタート。
イギリスBBCによる「21世紀に残したい映画100本」の内の1本で、北野武 監督の評価を確立した作品。
久石譲さんは、このミニマル・ミュージックの手法を取り入れた この作品の音楽が北野作品の中で、一番好き...との事。
巨大組織の人柱として沖縄に渡ったヤクザの逆襲……
タランティーノの「ローリング・サンダー・レーベル」よりビデオリリース!
④『キッズ・リターン』(96年)……北野武 監督 第6作。
無名時代の金子賢と安藤政信が主演の、大人の世界に振り回される青年達の青春ボクシング映画。
久石譲、2年ぶりの映画音楽。生楽器をあまり使用せず、YAMAHAのシンセサイザーが使用されている。
⑥『あの夏、いちばん静かな海。』(91年)……監督第3作目。
ハンディキャップを持った主人公(真木蔵人)が、サーフボードを拾った事でサーフィンにのめり込んでいく……
前2作のバイオレンス色を抜き、喋れないカップルをサイレント映画のように演技と背景で表現した、
北野監督の引き出しの多さに各方面驚愕した。淀川長治さんも大絶賛!
久石譲はエリック・サティ風の音楽を考えていたが、
サティを使った『その男凶暴につき』のイメージと被るのを避けた北野監督が、
サブとして作られた『Silent Love』をメインテーマにした。
久石譲は、「この曲だとロマンティック過ぎて、クールにならない」と主張したそうだ。
⑦『菊次郎の夏』(99年)……第52回カンヌ国際映画祭で5分間のスタンディング・オベーションを受けた、
北野武監督の実父・北野菊次郎をモデルに
した映画。
祖母と暮らす少年の母を探す旅と、それに付き合う事になるチンピラ中年(ビートたけし)のひと夏の旅。
音楽に関し珍しく監督が「リリカルなピアノものでいきたい」と注文をしたくらい、
亡き父への想い出溢れるこだわりの作品になっている。
⑧『Dolls』(02年)……3組の関連のない男女の、希望の光からの無情な死を描いた、北野監督曰く「これまでで、一番暴力的な映画」
有名なエピソードとして、主人公の1人の菅野美穂が、監督がOK出しているにも関わらず 再度 演技させて欲しいと要求し、北野監督を怒らせてます。
演出の領域に、役者は口を出すべきじゃない...という事のようです。
また、この作品が久石譲との最後コンビになります。
日本アカデミー賞などから無視される事が多い北野作品も、
久石譲の音楽だけは国内の数々の賞を撮っていて、不満を持っていたようです。
その後、『座頭市』や『アウトレイジ』で鈴木慶一と組んで、傑作を放ってますが、
ファンとしてはまた、北野作品で久石譲の音楽を聴きたい という希望は捨てられません。
ロシアでは大ヒットになった。(2年間のロングラン興行)
※ 配信停止の為、『BROTHERS 』から1曲
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