“ さんしんおばあ ”
夕刻は陽が
透き通った海に溶ける頃
南に向かう赤瓦の平屋建て
グシクに囲まれたアマハジに
玄関を兼ねた広い縁側
捕れた魚に貝を持ち寄り
一人、二人と集まって
島酒ついでしゃべりだす
シーサーとヒンプンに護られ
部屋の奥にはトートーメー
三人、四人、集まって
みなの頰に赤みがさした頃
台所の火を消して
おばあはさんしん片手に
片膝立ててその輪に加わり
バチで女弦を
ペンッと弾いて唄いだす
遥か流れて風に乗り
ウチナー浜に舞い降りた
話したいだけお話よ
こんなおばあでよかったら
星が消えるまで
あなたにこうして会ったのも
きっと何かのご縁でしょう
食べて笑えて眠れたら
人はそれで幸せさ
おばあはちょっと贅沢ね
美人に生まれてしまったさ
その笑顔を忘れずに
明日もきっと晴れるから
紫に染まるチュラ空の夜明
星は消え、そして霞も消えた
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