①『青春の蹉跌』(74年)……
日活ロマンポルノの鬼才・神代辰巳による初の一般映画作品。
撮影は数々の日活作品でコンビを組んできた姫田真佐久、
脚本に『濡れた荒野を走れ』『太陽を盗んだ男』の長谷川和彦、
音楽に井上尭之
主演は、当時人気絶頂の萩原健一!
1968年4月から9月まで『毎日新聞』に連載され、ベストセラーとなった石川達三の『青春の蹉跌』が原作。
「蹉跌」というのは「つまずく」ということから「物事がうまく進まず、 しくじること。挫折」を意味します。
「斉太郎節」をかったるそうに、心で歌うショーケンが《時代の空気》
②『太陽を盗んだ男』(79年)……
《生ける伝説》長谷川和彦監督による現時点 最後の映画。
脚本は長谷川和彦と『ザ・ヤクザ』(74年)の原作者レナード・シュレイダー。
中学校の冴えない理科教師・城戸誠(沢田研二)は、原子力発電所に侵入してプルトニウムを盗み出し、自宅アパートで苦労の末に原子爆弾の製造に成功。
警察に脅迫電話を掛けると、以前バスジャック事件に遭遇した際に知り合った山下満州男警部(菅原文太)を交渉相手に指名する。
明確な目的も思想も持たない城戸は、
テレビの野球中継を試合終了まで放送させるよう要求したり、
ラジオ番組を通して次の要求を募集したりと、行き当たりばったりの犯行を続けるが……。
サウンドトラックは、井上堯之と星勝。
本作は全国100館以上で鳴り物入りで封切られましたが、
都市部で大入りしたものの地方では惨敗で、全国で見ると興行的には成功をみなかったそうです。
伝説ってそんなもんですよね😭
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で、この曲が流れた時は、ビックリしました。
③『冒険者カミカゼ -ADVENTURER KAMIKAZE-』(81年)……
プロデューサーの日下部五朗から「好きな映画を作っていい」と言われた千葉真一は
フランス映画『冒険者たち』をオマージュし、
アメリカ映画『明日に向って撃て!』、『スケアクロウ』のテイストを加えた企画を提出。
そのイメージを表す曲は、
クラシック・ギターでフランシス・ゴヤが奏でるテーマ曲。
封切り公開される数年前に千葉真一がヨーロッパの街中で耳にし、
ありとあらゆる手立てを使って探し、ようやくオランダで見つけました。
監督の鷹森立一も気に入り
もの悲しさがある旋律に映像を組み合わせ
ロケ現場の教会からテーマ曲を流しての撮影をして雰囲気を掴みました。
元オリンピック選手の東西大学職員・神風大介(千葉真一)、
女性ジョッキーを目指す乗馬の得意な金城ケイ(秋吉久美子)、
東西大学医学部生で体育部に所属の星野明(真田広之)が、
ふとしたことから知り合って、大学の不正入学金7億を略奪。
この巨額な現ナマをめぐって、3人が黒い組織とわたり合い、危険の真っ只中で一大アドベンチャーを展開する!壮絶アクションに加え、
3人の頭脳プレイがキラリと光る娯楽アクション・ムービー!!
真田広之はこのメロディをベースに『冒険者たちのメロディー』を歌いました。
④⑧『それから』(85年)……
夏目漱石が、1909年6月27日より10月14日まで、東京朝日新聞・大阪朝日新聞に連載した小説『それから』が原作。
監督は、《鬼才》『家族ゲーム』(83年)の森田芳光。
主演陣は、松田優作、藤谷美和子、小林薫、風間杜夫
サウンドトラックは《世界の》梅林茂。
彼のサウンドトラックをBOOK・OFFで見かけたら、迷わず買い!
明治時代、実業家の息子で職につかず高等遊民の生活を送っている長井大助(松田優作)は、
学生時代の友人・平岡(小林薫)と再会。
平岡の妻・三千代(藤谷美和子)はかつて長井が愛しながら身を引いていた女性であった。
やがて長井と三千代はお互いの想いが再燃していくのだが……。
⑤『祭ばやしが聞こえる』……
1977年(昭和52年)10月7日~1978年(昭和53年)3月31日まで日本テレビ系で放送されたテレビドラマ。
競輪のレース開催中での事故により負傷した競輪選手の主人公・沖直次郎(ショーケン)が、
先輩選手(山崎努)の実家の旅館で世話になりながら復帰を目指す……
旅館の女将に、いしだあゆみ、やがて現実でも恋に落ち、結婚しました。
元はアル・パチーノの映画『ボビー・デアフィールド』(77年)に刺激されて企画しましたが、
予算が数十億円かかるということがネックとなって断念しました。
音楽は、大野克夫。
主題歌は、柳ジョージの出世作❗『祭ばやしが聞こえるのテーマ』
⑥『雨のアムステルダム』(75年)……
監督は『南極物語』(83年)の蔵原惟繕。
主演は、萩原健一と岸恵子。
共演には『エマニエル夫人』(74年)のアラン・キューニー。
アムステルダムには、大小合わせて六千近い日本の商社がひしめいている。
小西商事は、その中でも最低ランクの商社で駐在員は作田明(萩原健一)一人である。
ある日、明はスキポール空港で美しい日本の女性を見かけた。
目と目が絡んだ一瞬、彼女は彼を無視したが、彼女は確かに中津涼(岸恵子)だ。
明は津軽の貧しい漁師の息子だったが、高校時代、惚れていたのが年上の網元の娘・涼だった。
しかし彼女は明には目もくれず、いつもすましていた。
その男を見下すような気位の高さは少しも変っていなかった。
涼の居所はすぐ分った。近々開店するレストランJAPANのマダムとしてオランダに来たらしい。
涼の居る所には常に、名実ともに日本一の商社である大日本商事の正岡清之助(三國連太郎)の姿があった。
明が涼に接近しようとすると、必ず正岡や、その部下の片山が立ちはだかった……
⑦『股旅』(73年)……
『金田一耕助』シリーズの市川崑 監督の日本アート・シアター・ギルド(ATG)配給作品。
故郷を離れ、渡世人に憧れて旅を続ける
源太(小倉一郎)、信太(尾藤イサオ)、黙太郎(萩原健一)の3人の若者達。
いずれも農家の食いつめ者たちだ。
だが渡世の世界に入ったばかりの新参者たちに世間の風は冷たかった。
厳しい世の中、喰うのもままならない空きっ腹をかかえ、3人は二井宿・番亀一家に潜り込むが...。
1973年に公開された『股旅』は、
ヤクザの世界で名を売ろうと、社会の底辺で懸命にもがく3人の若者の姿を描いた、
異色の青春アウトロー時代劇。
義理人情というものがどういうかたちで我々の生活の中に残っているかを、
自由をもとめて流れ流れる無宿人の若者を通して解明しようとした作品。
時代劇でありながらロードムービーでもあり、『イージー★ライダー』に代表されるようなアメリカン・ニューシネマに通じる空気感を感じます。
いつも『青春は屍を超える』……
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