名作……と、言うより迷作?なんて言われがちな作品にスポットライトを与える《懐かシネマ 番外編》
サントラが配信されてないなら、作ってしまおうホトトギス!
『カリブの熱い夜』に続く第2弾は
「見たいですか?それとも 見られたいですか?」
のキャッチコピーが《シャロン・ストーン》マニアのハートにジャストミートした『硝子の塔』の特集です。
シャロン・ストーンは、フォード社のファッションモデルを経て映画業界に入ります。
ウディ・アレンの作品『スターダスト・メモリー』(80年)で映画デビューしたが、その後 鳴かず飛ばず……
『ロマンシング・アドベンチャー / キング・ソロモンの秘宝』(85年)
スティーブン・セガール初主演の『刑事ニコ/法の死角』(88年)
などの B級映画のヒロインで、知られるようになります。
最大の転機は、《鬼才》ポール・バーホーベン監督の『トータル・リコール』(90年)でアーノルド・シュワルツェネッガーの相手役で大注目!
再び ポール・バーホーベン監督の『氷の微笑』(92年)で、《90年代のセックスシンボル》になり 大スターに駆け上がります。
次作に選んだのは、『氷の微笑』と同じくジョー・エスターハス 脚本&製作総指揮の アイラ・レビン原作の『硝子の塔』。
監督は『パトリオット・ゲーム』(92年)
『今そこにある危機』(94年)のジャック・ライアンシリーズのフィリップ・ノイス。
ニューヨークの出版社に務める女性編集者のカーリー・ノリス(シャロン・ストーン)は、
離婚を機に高層マンションへと引っ越した。
マンションに住んでいる大学講師のガス・ホール(キーン・カーティス)や隣人となったヴィダ・ウォーレン(ポリー・ウォーカー)は、
カーリーの顔を見て、自殺した前の住人・ナオミに似ていると口にする。
後日、ガスは死体で発見される。
マンションでは、住人の不審な死が頻発していた。
カーリーは社長のアレックス・パーソンズ(マーティン・ランドー)の紹介で、
作家のジャック・ランズフォード(トム・ベレンジャー)と出会う。
カーリーはジャックに迫られるが、あまり乗り気ではない。
カーリーはゲームソフトのプログラマーをしているマンションの住人ジーク・ホーキンス(ウィリアム・ボールドウィン)と出会い、彼に惹かれるようになっていく。
カーリーはジークとセックスした後、彼がマンションのオーナーだと聞かされる。
やがてカーリーはジャックから、ジークは頭のイカれた男で、ナオミと付き合っていたと聞かされる。
だが、ジークはヴァイダから聞いた話として、ジャックがナオミと付き合っていたと語る。
やがてヴァイダが殺害され、現場にいたジャックが犯人として逮捕される…。
『氷の微笑』のように、最後まで結末はわからない感じにしています。
製作費 は、$40,000,000
北米では、1993年5月21日公開
(ちなみに日本は、1993年10月30日公開)
北米での興行収入 は、$36,300,000
世界興収は、 $116,300,000
だから、北米では期待を下回る成績だったが、世界での興行収入を見れば、まあまあ成功…かな。
サスペンスとしての奥深さや緊迫感もなく、盛り上がりにも欠ける内容は酷評され、
ラジー賞で主要部門にノミネートされてしまった。
第14回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[フィリップ・ノイス]
ノミネート:最低脚本賞[ジョー・エスターハス]
ノミネート:最低主演男優賞[ウィリアム・ボールドウィン]
ノミネート:最低主演女優賞[シャロン・ストーン]
ノミネート:最低助演男優賞[トム・ベレンジャー]
ノミネート:最低助演女優賞[コリーン・キャンプ]
第16回スティンカーズ最悪映画賞
受賞:【最悪の作品】部門
受賞:【最悪の女優】部門[シャロン・ストーン]
撮影現場も様々なトラブルが起き
シャロン・ストーンとウィリアム・ボールドウィンは、犬猿の仲に……
シャロン・ストーンは、ウィリアム・ボールドウィンとの絡みが心の底から嫌で
あるキスシーンではウィリアムの舌に思いっきり噛みついたとの事。
数日間まともに喋れないほどの傷を負わせた。
二人の関係は改善するどころか、撮影を重ねるにつれて悪化の一途。
最終的に撮影自体もすべて別々にしてほしいと製作人にねだり、
シャロンは撮影が終わった後に、ウィリアムの実兄の「アレック(・ボールドウィン)とだったら撮影を楽しめたのに」という捨て台詞をはいています。
一体なぜそこまでシャロンがウィリアムを嫌ったのかは分かりません。
インターネットでは、
当初ジョニー・デップやヴァル・キルマー、リバー・フェニックスが
ウィリアム演じたジーク役候補にあがっていたそうなので、期待が落胆に変わったからか…
と書いてありました……ま、単純にどっちが…お互いに?……やな奴だったんでしょうね。
ジョー・エスターハスも、『氷の微笑』で当時史上最高額の脚本料300万ドルを受け取ったが、
この次作『硝子の塔』でケチがつき、
(製作のロバート・エヴァンスと揉めたから?)
ウィリアム・フリードキン監督の『ジェイド』(95年)
ポール・バーホーベン監督の『ショーガール』(95年)
などエロティック描写が売りの作品を手がけるが、
両方とも失敗作の烙印を押され
映画業界を風刺したコメディ『アラン・スミシー・フィルム』(98年)を最後にハリウッドを離れる事になります。
でも 私はこの『硝子の塔』、結構好きです。
《B級ヒロイン》から、《マネーメイキングスター》として、ブイブイ言わせだしたシャロン・ストーンの自信に満ち溢れてる輝きを感じるからです。
やっぱり《旬》は良いですよ!
《選曲》
①カーリーの歌(エニグマ)
印象的な歌声は、モンゴルの歌手 ナムジリーン・ノロヴバンザドによるもの。
② 好きにならずにいられない(UB40)
③スリッド(フルーク)
④ ザ・モスト・ワンダフル・ガール(ローズ・オブ・アシッド)
⑤ ムーヴ・ウィズ・ミー(ネナ・チェリー)
⑥ ペントハウス・アンド・ペイヴメント(ヘヴン17)
⑦ スター・セイル(ヴァーヴ)
⑧スキンフラワーズ(ザ・ヤング・ゴッズ)
ちなみに 映画評論家の町山智浩と柳下毅一郎は、シャロン・ストーンとジョー・エスターハスについて
こんな事を語ってます。
ボーナストラックとして書いておきます。
町山智浩
「でも、ジョー・エスターハスによるとイイ人らしいよ。
エスターハスは今までいろんな女優にシナリオを提供してきたけど、やらせてくれたのはシャロン・ストーンだけだって。」
柳下毅一郎
「ヤらせりゃなんでもいいのか。」
町山智浩
「でも、シャロン・ストーンはノーパン脚組み替えをやらせたヴァーホーヴェンにはヤらせなかった。
だからヴァーホーヴェンはシャロン・ストーンが大嫌い。」
柳下毅一郎
「ヤらせないと怒るのか。」
町山智浩
「『ショーガール』(95年)のときは逆に主役のエリザベス・バークレイはヴァーホーヴェンにヤらせて
エスターハスにヤらせなかった。
だからエスターハスは彼女を、売〇だのス〇タだの言ってる。」
柳下毅一郎
「あんたら最低だよ!」
町山智浩&柳下毅一郎『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判3』より
《作品データ》
『硝子の塔』 原題『 Sliver 』
監督
フィリップ・ノイス『パトリオットゲーム』(92年)
脚本
ジョー・エスターハス『氷の微笑』(92年)
原作
アイラ・レヴィン『ローズマリーの赤ちゃん』(67年)
製作
ロバート・エヴァンス『チャイナタウン』(74年)
製作総指揮
ハワード・W・コッチ・Jr『ザ・キープ』(83年)
ジョー・エスターハス
音楽
ハワード・ショア
撮影
ヴィルモス・ジグモンド
配給
アメリカ パラマウント映画
日本 UIP
公開
アメリカ 1993年5月21日
日本 1993年10月30日
上映時間
108分
興行収入
$116,300,000
配給収入 (日本)
9億5000万円
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